謎や未知なものには不思議な魔力が潜んでいるようです。無性に知りたくなります。ヒガンバナに関して,分らないことや不思議に思ってることを並べてみました。謎も彼岸花の魅力のひとつかと。
- 日本への渡来時期?
- 日本列島がユーラシア大陸と陸続き時代?
- 海流漂着物として,有史以前?
- 稲作と一緒に,縄文末期~弥生時代?
- 仏教伝来時,飛鳥時代?
- 奈良平安時代に他の植物と一緒に?
- 鎌倉~安土桃山時代?
- 江戸時代?
渡来時期が一番の謎。有力なのは稲作と一緒に伝来したという説だが,それが事実なら,古事記や万葉集などにもっと登場してもいいのでは・・・。鮮やかで目立つ花なのに,万葉集の「壱師(いちし)の花」を詠んだ歌だけとは?壱師の花がヒガンバナというのも疑問。
道の辺の 壱師の花の いちしろく 人皆知りぬ 我が恋妻は(柿本人麻呂)
万葉集の後は1666年(寛文6)の日本初の百科図鑑「訓蒙図彙」に「石蒜」「曼珠沙華」「死人花」,江戸時代になってから。それ以降は次々と登場。ヒガンバナの渡来時期を暗示しているのでは・・・
毒々しい血のような色で,いかに日本人の美的感覚から外れたものだったからと言っても,既にヒガンバナが咲いていたのなら,枕草子,今昔物語,徒然草などに全く登場しないとは考えられない。当時未だ渡来してなかったか,あったとしても稀だったというほうが納得できる(?)
- 花は何のため?
- 三倍体のヒガンバナは開花はするが結実しない。花は大きく目立ち,蜜腺もあり,アゲハ蝶など様々な昆虫が集まってくる。彼らに受粉を頼んで実を結ぶ必要なんてないのに,なぜ。
- ヒガンバナに集まってくる蝶,何故かアゲハ蝶が多い。
- 花と葉の時期が重ならないのは?
- 花が終わると葉が伸びてきて,冬日を全身に浴び,鱗茎に養分を蓄え,晩春には葉も枯れ落ち,夏には地中の鱗茎だけになり,秋に突然茎が伸び出て見事な花を咲かせる。毎年,花期(9月),葉期(10~4月),休眠期(5~8月)の3期の繰り返し。
- 他の草木が生い茂る夏は休眠し,草が刈れ木々の葉が落ちてしまった冬,陽光を独り占めして養分を蓄えるためか?となれば,まさに省エネ,エコロジーを象徴する植物かと。
- 別名(方言)が多いのはなぜ?
- 1000を超す別名があるということは,目立つ花で人々の関心が強かった証し?
- 忌み嫌われたため,口に出せず,隠語として別名が次々と出現したのか?
- 文献に多く登場するのは江戸以降,だけど植物の別名数No.1とは?
- 忌み嫌われるのはなぜ?
- 別名が多いことは人々の関心が高い花と言うことだが,真っ赤な血のような毒々しい色のために嫌われたのか? 別名(方言)でも,エキビョウバナとかシビトバナなどと敬遠されている。
- 日本人の美意識からかけ離れていたのか? ただ最近は,素直にヒガンバナの美しさを愛でる愛好者が急増。海外に渡ったヒガンバナが様々な色形の園芸種として里帰りしており,今また新たな注目をあびている。
- シロバナヒガンバナはショウキズイセンとの雑種?
- 「ヒガンバナには種子ができないのに,なんで雑種が?」から二倍体への興味が
- コヒガンバナ(種子ができる二倍体のヒガンバナ)は8月,ショウキズイセンは9月,花期が違うのに?
- ヒガンバナの自生地?
- ヒガンバナが咲いているのは人里近く,人里離れた山中にはヒガンバナは見当たらない。時たま,ヒガンバナの「自生地」と言う言葉を耳にするのだが,本当の意味での自生地が日本に存在するのか?
- 人の手による植生地か,または植生地が流失,あるいはゴミとして捨てられた鱗茎が繁殖したのか?
- 昔は自生地もあったが,他の植物に淘汰されてしまって,今は無くなったのか?
- 群生地と自生地を混同しているのか?
- 同じ場所でも開花時期がずれるのは,なぜ?
- 普通のヒガンバナは三倍体で,日本のほとんどのヒガンバナが同一遺伝子を持つ。だから,地温や地質条件が同じなら,開花も落花もほぼ同時では?(桜のソメイヨシノも。本サイトで桜と彼岸花の開花情報を発信している理由でも!)
- 場所が少しでもずれれば,地質や地温も微妙に違うからか?
- 春にも咲くの?
- いつだったか「ヒガンバナは春にも開花しますよね!」と同意を求められたことが。お彼岸は春と秋二度,「彼岸」花という名前からの思い込みからだったのでしょうか。冬の間暖かい場所に置き,春になって開花適温の涼しい場所に移動させるなど,温度管理を実施しない限り無理か(?)。しかし,秋咲きの桜の例もある。「春咲きのヒガンバナは絶対にない!」とは言い切れない(?) 生物がどう進化するかは予想できない(?) ご教示いただければ幸いです。
- ヒガンバナの開花は全国的に「彼岸頃」?
- 全国どこでも,秋の彼岸(秋分の日の前後)頃に開花します。「20度以下」など,決まった温度で開花するのではなく,高温から低温への気温の変化に反応したもの(?)(高温の場所から低温の場所に移せばいつでも開花する,暖かい地方が寒い所より開花が早い) 「いつ咲くの?」の応答を熊本弁で「ヒガンばな!」
- 黄葉や紅葉はその年によって時期がずれるが,ヒガンバナの開花日は毎年さほど変わらない。
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